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忘れられる、キスを
第17章 告白
しとしとと雨の降り続いたある日、一通のメールが届いた。

『先輩、お久しぶりです!就職決まりました!お祝いしてください!!』

自分から、お祝いしてください、なんて言ってしまえる星くんの明るさが羨ましい。

『就職、おめでとう。明日の夜なら空いてるけど、どうですか?』

短いメールに数分と待たず、返信が来る。

『大丈夫です!仕事終わったら、メール下さい、迎えに行きます』

了解のメールを送り、携帯を鞄に戻す。
明日、久しぶりに星くんに会える。

なにを着ていこうかな…

鏡の前に立ち、ふと我に返る。
こんな風に服を選ぶのは、倉田先輩と会うとき以来だ。
候補の服を幾つか選び、身体に当てる。
仕事も私服勤務なので、ある程度TPOを考えて選ばなくてはならない。
散々迷って、結局、無地の青いワンピースに、薄手のジャケットを羽織ることにした。
仕事終わりに大振りのアクセサリーをつければ、胸元もそんなにさみしくない。
服を合わせて鏡を覗き込んでいたら、映り込んだ自分の顔が少しウキウキしているように感じた。

なんだろう、こんなに浮き足立って…
これって…

ふわりと甘い予感を、首を振って追い出す。

しっかりしてよ、絵津子。
また、年下に弄ばれるよ。

自分に喝を入れるように、ぱしっと両頬を叩いた。

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