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忘れられる、キスを
第20章 焦り
薄暗がりの中で乱れる先輩の姿に俺はすっかり興奮していた。
怯えるような目つきも、羞恥で身体が縮こまる様子もなにもかもが愛おしかった。

バレンタインの夜、先輩の気持ちを追い越し、俺の身体が先走った。
今度はそうならないよう、はやる気持ちを抑え、ゆっくり、ゆっくり愛撫する。
額に、頬に、唇に、たっぷりキスをして。
耳元で囁きかけながら、耳朶を甘噛みすれば、吐息とともに艶のかかった声が漏れた。
控えめな胸にそっと触れる。
その頂きを避けながら、柔らかな膨らみを撫でる。
ちゅっ、ちゅっとわざと音を立てながら口付けを落とせば、小さな膨らみの尖端は見る間にその存在を主張する。

「あ…んっ……ん…」

その胸の尖りを潰すように捏ねると、また艶やかな声が漏れた。

もっと、聞かせて。
どこが、イイの?

舌先でつんと、突くと、我慢できずに零れた嬌声に口を塞いでしまう。
そんな仕草でさえ、可愛らしい。

「声、聞きたいのに…」

不満を漏らすと、先輩は、小さな子どもがいやいやをするように首を振った。
尖りきった其処へ舌を絡ませ、指を這わせる。
快楽に抗うように身をよじる先輩に思わず悪戯心が芽生えた。
カリッと歯を立てると、その刺激に先輩は淫らな声をあげた。

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