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忘れられる、キスを
第20章 焦り
それからそのまま、半裸の先輩を抱きしめ、またベッドに沈み込む。
結局、繋がることは叶わず、あんなに惨めな気持ちにもなったのに、俺はものすごい幸福感に包まれていた。
えっちゃん先輩が俺の腕の中で眠っている、ただそれだけで、幸せだった。
なんだ、何もしなくても良かったじゃないか。
負け惜しみでもなんでもなく、心の底からそう感じた。
この温かな身体を抱きしめ、一緒に眠ることだけで胸の中にじわじわとした幸福感が広がった。
「星くん」
寝言かと思い、頭を撫でていたら、もう一度、呼ばれた。
「起きてたの?」
「ん…雨、まだ降ってる…?」
「降ってるよ。だから、帰らないで。雨宿りして」
きゅっと手首を握る。
また額にひとつ、キスを落とす。
「ん…帰らない……ごめんね、ちゃんと、できなくて」
「いいよ…てか、お試し中なのにね、ごめん、焦って」
ズルくて、ごめんね、と先輩が小さな声で言った。
そう、俺も先輩もズルいのだ。
けれど、今は、このままで、いい。
「俺、えっちゃん先輩のこと、本当に大好きだから…また、止められなくなるかもしれない」
コクリ、と先輩の喉が動く。
「でも、先輩の嫌なことはしたくない、から…嫌な時は、ちゃんと言って、ね。ルール忘れないで」
うん、と先輩が頷き、薄暗がりで視線が合う。
どちらからともなく、そっと唇が合わさった。
結局、繋がることは叶わず、あんなに惨めな気持ちにもなったのに、俺はものすごい幸福感に包まれていた。
えっちゃん先輩が俺の腕の中で眠っている、ただそれだけで、幸せだった。
なんだ、何もしなくても良かったじゃないか。
負け惜しみでもなんでもなく、心の底からそう感じた。
この温かな身体を抱きしめ、一緒に眠ることだけで胸の中にじわじわとした幸福感が広がった。
「星くん」
寝言かと思い、頭を撫でていたら、もう一度、呼ばれた。
「起きてたの?」
「ん…雨、まだ降ってる…?」
「降ってるよ。だから、帰らないで。雨宿りして」
きゅっと手首を握る。
また額にひとつ、キスを落とす。
「ん…帰らない……ごめんね、ちゃんと、できなくて」
「いいよ…てか、お試し中なのにね、ごめん、焦って」
ズルくて、ごめんね、と先輩が小さな声で言った。
そう、俺も先輩もズルいのだ。
けれど、今は、このままで、いい。
「俺、えっちゃん先輩のこと、本当に大好きだから…また、止められなくなるかもしれない」
コクリ、と先輩の喉が動く。
「でも、先輩の嫌なことはしたくない、から…嫌な時は、ちゃんと言って、ね。ルール忘れないで」
うん、と先輩が頷き、薄暗がりで視線が合う。
どちらからともなく、そっと唇が合わさった。