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忘れられる、キスを
第21章 ためらい
星くんとの期間限定のお付き合いが始まって、2週間が経った。
時間さえ合えば夜に食事をし、金曜の夜にはどちらかの家に泊まって休日を過ごした。
その間も、星くんは何度となく私にキスをした。
けれども、それ以上は何もせず、私をぎゅっと抱きしめるだけだった。

どうしても、セックスが怖い。

星くんに求められた雨の日、女としての悦びを知った。
自分のことを心底想ってくれる人に身体に触れられるということの気持ち良さを知った。
けれど、星くんのいつもは見せない、男の人の目が見えたとき、私の身体は恐怖に支配された。
いつもと違う、暗い欲望を湛えた、野獣のような目。
硬く、そそり勃つ星くんのそれをお尻に感じたとき、ゾワリと全身に震えが走った。

優しく、かわいい後輩の星くん、ではなく、欲望を湛える、星龍太郎という男の人。

このまま先に進めば、自分も星くんも、どうなってしまうのか、分からない。
そんな不安が恐怖心を呼び起こす。

そして、お尻や太腿に感じた、星くんの昂ぶり。
それがどんなものなのか、薄暗がりの中でさえ直視することが憚られた。
ただ、その熱さと存在感は肌を通してたっぷりと感じることができた。

アレが私の身体の中に…?

そう思うと、やはり、恐怖が先に立ってしまうのだった。

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