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忘れられる、キスを
第21章 ためらい
それでも、星くんが傍にいてくれることはとても幸せなことだった。
キスをして、抱きしめて、一緒に眠る。
ただそれだけで、心が満たされていくのが分かった。

このままずっと、星くんを受け入れられなかったら…

そう思うと、これ以上、星くんに、寄りかかるのはためらわれた。
星くんは、それでも、私から離れようとはしなかった。

「先輩、不安なこととか辛いこととか、何かあったら俺に言ってね。一人で泣くのはもうなし。俺がいるって、ちゃんと覚えてて。俺に、いっぱい、頼ってね」

深い、深いキスの後、星くんはそう言った。
その優しさに、苦しくなる時もあった。

どうしてそんなに優しいの?
期間限定の縛りがあるから?
一人ぼっちの私が、可哀そうになったから?

ズルい私は、それすらも確かめることができず、結局、星くんの優しさにずるずると甘えてしまうのだった。

「先輩、今度、俺のバイト先に遊びに来てよ」

ある日の夜、星くんは相変わらず私を抱きしめて、キスをしながら言った。

「星くん、どこで働いてるの?」
「先輩の会社からわりと近いよ?『スターライト』っていうカフェ」

店名を聞いても、よく分からない。
聞けば、私の職場から3駅ほど離れた場所にあるそうだ。
じゃあ、今度行くね、というと星くんは嬉しそうに私の頬にキスをした。


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