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忘れられる、キスを
第23章 スターライト
「先輩、明日も仕事、だよね。俺も朝一緒に出るよ」

家に着くと、早速、星くんは部屋の隅に置いてある紙袋から自分の部屋着を引っ張り出した。
週末にお互いの家を行き来するようになってから置き始めたのだ。
星くんの家では毎回、星くんのパジャマと例のトランクスを穿かされるけど…

「お風呂先入っていいよ」
「えー…一緒に入ろうよ」

勝手にバスタオルを準備していた星くんが不満げに言う。

「絶対、いや」
「あんなに俺に裸みられてるのに、まだ恥ずかしいの?」

文句タラタラな星くんの言い草に顔が赤くなる。
たしかに裸は何度か見られているが、それとこれとは全く別だ。

「先輩、先入ってよ。じゃないと、俺、連れ込むよ?」

恐ろしいことを言うので、さっさとお風呂場に避難する。
熱めのシャワーが心地よい。
湯船に肩まで浸かると、じんわりと身体の芯が温まり、疲れが溶けていくようだ。
ついさっき思い出しかけた嫌な感覚もなくなっていた。
たっぷり温まってから部屋に戻ると、星くんはベッドを背に、うつらうつらとしていた。

「星くん、お風呂、空いたよ」

声をかけると、眠そうに目を擦り、きゅっと伸びをした。

「先輩、良い匂いする」

そう言って、洗い立ての私の髪の毛に口付けた。

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