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忘れられる、キスを
第24章 泊まり
金曜ということもあり、夜は伊東さん目当てのお客さんも多く、えっちゃん先輩の家に戻る頃には日付が変わりそうな時刻となっていた。
「おかえりなさい」
パジャマの上にパーカーを羽織り、少し眠そうな顔で出迎えてくれる。
「ただいま。遅くなってごめんなさい」
こんな会話をしていると、何だか一緒に住んでいるような錯覚に陥る。
荷物を置いてすぐ、風呂に入らせてもらった。
髪を乾かして部屋へ戻ると、先輩はベッドの上で文庫本を開いていた。
「何読んでるの?」
俺の問いに、表紙を見せてくれる。
ハードボイルド系の警察小説だった。
「何か、意外」
「そう?」
「んー…フランス文学とか読んでそうなイメージだった」
何それ、と先輩が笑った。
上司の早坂さんとね、貸しっこしてるの、と言われて、胸にチリッとした痛みが走る。
俺は、先輩について、まだまだ知らないことが多い。
それを、また一つ、思い知らされた。
「ね、先輩。もっと、先輩のこと教えて」
「私のこと?」
栞を挟み、ベッドサイドのテーブルに文庫本を置く。
スペースを空けてくれたベッドの右半分に入り込む。
「好きなものとか、嫌いなものとか、そういうの、もっと知りたい」
「じゃあ、ちょっとだけ、お喋りしようか」
そう言うと、えっちゃん先輩は、ベッドを抜け、コーヒーを淹れる準備を始めた。
「おかえりなさい」
パジャマの上にパーカーを羽織り、少し眠そうな顔で出迎えてくれる。
「ただいま。遅くなってごめんなさい」
こんな会話をしていると、何だか一緒に住んでいるような錯覚に陥る。
荷物を置いてすぐ、風呂に入らせてもらった。
髪を乾かして部屋へ戻ると、先輩はベッドの上で文庫本を開いていた。
「何読んでるの?」
俺の問いに、表紙を見せてくれる。
ハードボイルド系の警察小説だった。
「何か、意外」
「そう?」
「んー…フランス文学とか読んでそうなイメージだった」
何それ、と先輩が笑った。
上司の早坂さんとね、貸しっこしてるの、と言われて、胸にチリッとした痛みが走る。
俺は、先輩について、まだまだ知らないことが多い。
それを、また一つ、思い知らされた。
「ね、先輩。もっと、先輩のこと教えて」
「私のこと?」
栞を挟み、ベッドサイドのテーブルに文庫本を置く。
スペースを空けてくれたベッドの右半分に入り込む。
「好きなものとか、嫌いなものとか、そういうの、もっと知りたい」
「じゃあ、ちょっとだけ、お喋りしようか」
そう言うと、えっちゃん先輩は、ベッドを抜け、コーヒーを淹れる準備を始めた。