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忘れられる、キスを
第26章 無防備
俺と繋がることに怖じ気づいているくせに、無防備に、下着も付けず、同じベッドに入る先輩に僅かな苛立ちを覚えた。
ちらりと覗く白い肌や薄い布の下から存在を匂わせる胸は、俺を煽るのに充分だった。

俺がどんなに我慢して、今日まで過ごしているのか分かってる?

やめないで、と掠れる声と上気した切ない顔でねだられた時には、めちゃくちゃにしてしまいそうだった。
彼女を組み伏せ、無理矢理最後まで繋がってしまうことも出来た。
けれども、やっぱり、そんなことは出来るはずもなく、俺自身を落ち着かせるように、そっと彼女を抱きなおした。
セックスの未知なる快楽に溺れることを恐れ、そこに伴うであろう痛みに不安を感じ、羞恥に震える先輩。
そんな姿が、俺を欲情させる。

「もう少し、続き、いい?」

戸惑っているのか、不安げに瞳が揺れる。
返事はない。

「嫌って言わないなら、いいってことだよね」

再び、彼女の肉付きの薄い胸に顔を埋めた。
ぴくん、と身体が反応する。

待つ、と言っておきながら、こんなことを続けるのは、ひどく矛盾していると、自分でも思う。
それでも、やめられない。
その身体に触れることを、少しでも、許されるのなら。

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