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第26章 無防備

「んんっ…んー…」

先輩が艶やかな声を洩らした。
そのまま舌先で唇を割り、歯列をなぞる。
怖じ気づいて、引っ込んでしまいそうになる先輩の舌を捉え、絡める。

「っあ…はあ…」

一瞬離れて、またその薄い唇に貪りつく。
何度も、何度も、繰り返す。
先輩の口の端からつうっと唾液が垂れ、透明の筋をつくった。

「キス、気持ちよかった？」

ようやくキスの嵐から解放された先輩は、ぼうっとした目をしている。
零れた唾液の後を舌で舐め上げる。

「ひゃああっ…やあ…んっ……」

あられもない声を上げ、身体を捩る先輩。
その姿に思わず、俺自身が反応してしまう。

「あ…星く…」

俺の身体の変化に気づいてか、先輩が身体を半分起こした。
先輩の太腿辺りに、俺を押し付ける。

「星くん…あの……なんか…あ、当たって…」
「ごめん、先輩がエロいからつい…」

恥ずかしそうに顔を赤らめ、ふいっと顔を背けられてしまった。
髪の隙間から、柔らかそうな耳朶が見える。
ピアスの穴もない、綺麗な耳だ。
そっと摘まむと、先輩が「あ…」と、声を洩らした。

「舐めるんじゃなくて、触るだけで感じるの？」
「や…く、くすぐったい…」

耳の形に沿って指を滑らせる。
先輩は、くすぐったいのか、感じているのか、目をきゅっと閉じて声を詰める。
その新しい発見に俺はますます嬉しくなり、かぷりと其処を甘噛みした。