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忘れられる、キスを
第33章 安心毛布
「あ…」

私の身体の震えに星くんが気付く。
咄嗟に、胸の上の星くんの手を握り締める。

「ごめん、軽率だった」

するりと手を抜いて、パジャマの前を合わせ、ボタンを止め直してくれる。

「やめよう、もう。寝よう?」

星くんがそっと私から離れ、布団を掛け直してくれる。

自分の身体が恨めしい。
こんなことで、また、拒否してしまうなんて。

拒みたくない。
星くんに、触れて欲しい。
あの感触を、早く、消し去って欲しい。

「……め、ない…で」
「え?」
「やめない、で」

星くんの指を掴む。
そっと、握り返してくれる。
けれども、それ以上は、何も、ない。

「寝よう?眠くないなら、テレビでもなんでも付き合うけど…」
「や…続き…」

どうしようもない私の我儘に、星くんは困り顔。

「俺が、軽率だった。ごめん。だから、もう、今日は…」
「どうして…っ」

身体を起こし、星くんの上に覆いかぶさる。
ぽたり、と星くんのシャツに小さな滴が落ちた。

「して欲しいこと、言ってって…星くん、言ったのに…」
「それは…」

苦しそうに、星くんの顔が歪む。
こんな顔、させたく無いのに。
けれども、言葉が、止まらない。

「嘘なの?私に触るの嫌になったの?拒否したから?他の男の人にーーーー」

ぐっと腕を引っ張られ、そのまま唇が重なった。
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