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忘れられる、キスを
第34章 夏休み
「お腹、空いてるんじゃないの?」
相変わらず、箸…というかスプーンが進まない。
華奢なスプーンを取り上げ、一口掬って、その先を先輩の口元に運ぶ。
遠慮がちに口が開き、そっとそこへ差し入れる。
「……食べさせて欲しかったの?」
「ち、ちが…!」
慌てた様子で否定する。
俺は、片手でおにぎりを頬張り、もう片方でスプーンを先輩の口元に運ぶ。
余りご飯で先輩が作ってくれたおにぎりは、丁度良い塩加減だ。
アパートの大家さんが作ったという梅干しの酸っぱさに顔をしかめると、くすっと先輩が笑った。
「なに笑ってんの」
「ご飯粒、付いてる」
先輩の白い指が、俺の頬に伸びる。
米粒を摘まんだ先輩の指を捕まえ、そのまま口へと含む。
「ほ、星くん…!」
「油断するから」
変なことしないで、と指を抜かれる。
困り顔の先輩を引き寄せて、後ろから抱きしめた。
髪から香るシャンプーの匂いが、甘い。
「出かけるんでしょ…!」
「いいじゃん、少しくらい。先輩だってくっ付いてきたくせに」
「それは…」
離れようとする先輩をもう一度がっちり捕まえた。
耳元に、キスを落とす。
「まあこれから買い物でも、昨日の続きでも、俺は構わないよ」
「か、買い物!」
先輩が紅くなった顔を背けた。
相変わらず、箸…というかスプーンが進まない。
華奢なスプーンを取り上げ、一口掬って、その先を先輩の口元に運ぶ。
遠慮がちに口が開き、そっとそこへ差し入れる。
「……食べさせて欲しかったの?」
「ち、ちが…!」
慌てた様子で否定する。
俺は、片手でおにぎりを頬張り、もう片方でスプーンを先輩の口元に運ぶ。
余りご飯で先輩が作ってくれたおにぎりは、丁度良い塩加減だ。
アパートの大家さんが作ったという梅干しの酸っぱさに顔をしかめると、くすっと先輩が笑った。
「なに笑ってんの」
「ご飯粒、付いてる」
先輩の白い指が、俺の頬に伸びる。
米粒を摘まんだ先輩の指を捕まえ、そのまま口へと含む。
「ほ、星くん…!」
「油断するから」
変なことしないで、と指を抜かれる。
困り顔の先輩を引き寄せて、後ろから抱きしめた。
髪から香るシャンプーの匂いが、甘い。
「出かけるんでしょ…!」
「いいじゃん、少しくらい。先輩だってくっ付いてきたくせに」
「それは…」
離れようとする先輩をもう一度がっちり捕まえた。
耳元に、キスを落とす。
「まあこれから買い物でも、昨日の続きでも、俺は構わないよ」
「か、買い物!」
先輩が紅くなった顔を背けた。