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忘れられる、キスを
第47章 遠慮
大学に来るのは文化祭以来だ。
ほんのひと月前に来たばかりなのに、やっぱりよそよそしさを感じてしまう。
冬の弱い陽光の中を枯葉がはらはらと落ちていく。
会場はいつもと同じ、校内唯一のホール。
昼公演だったが祝日ということもあり、結構な人が集まっている。
適当な席に座り、入り口で渡されたパンフレットを眺めていると、前の列に華やかな様子の三人組の女の子が座った。
「ね、明日香、星くんとはどうなの?」
突然聞こえた名前に思わず声が出そうになる。
「どうって……なんかね、最近彼女出来たみたいでさー」
「え?そうなの?」
「サークルの人?それともゼミ、とか?」
「先輩みたいだよ」
三人のうちの一人の声に聞き覚えかあった。
星くんの家で熱を出してしまった日、星くんを訪ねてやって来た女の子の声だ。
たしか、文化祭で星くんと同じバンドだった。
肩まで伸ばした綺麗な髪にはっきりとした目鼻立ち。
すらっと細くて、華やかで、スタイルも良くて。
こんな素敵な女の子が星くんの近くにいることを目の当たりにして胸がぎゅうっと締め付けられるようだった。
あの日、星くんが戻って来たと勘違いをして開けた扉の向こうにいた彼女の顔が忘れられない。
酷く私を嫌悪するような、あの顔が。
ほんのひと月前に来たばかりなのに、やっぱりよそよそしさを感じてしまう。
冬の弱い陽光の中を枯葉がはらはらと落ちていく。
会場はいつもと同じ、校内唯一のホール。
昼公演だったが祝日ということもあり、結構な人が集まっている。
適当な席に座り、入り口で渡されたパンフレットを眺めていると、前の列に華やかな様子の三人組の女の子が座った。
「ね、明日香、星くんとはどうなの?」
突然聞こえた名前に思わず声が出そうになる。
「どうって……なんかね、最近彼女出来たみたいでさー」
「え?そうなの?」
「サークルの人?それともゼミ、とか?」
「先輩みたいだよ」
三人のうちの一人の声に聞き覚えかあった。
星くんの家で熱を出してしまった日、星くんを訪ねてやって来た女の子の声だ。
たしか、文化祭で星くんと同じバンドだった。
肩まで伸ばした綺麗な髪にはっきりとした目鼻立ち。
すらっと細くて、華やかで、スタイルも良くて。
こんな素敵な女の子が星くんの近くにいることを目の当たりにして胸がぎゅうっと締め付けられるようだった。
あの日、星くんが戻って来たと勘違いをして開けた扉の向こうにいた彼女の顔が忘れられない。
酷く私を嫌悪するような、あの顔が。