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忘れられる、キスを
第47章 遠慮
リュウ、と親しげに呼ぶ様子からも彼女の星くんへの好意は伝わってきた。
同級生同士の気兼ねのないの空気感。
私といる時とは全然違う星くんの雰囲気。
同級生と先輩なのだから、違うのは当たり前なのに、それがなんとなく嫌だった。
私の知らない星くんがそこにはいて、それが、怖くて、寂しかった。

「どこの先輩?サークル?」
「多分、サークル?先輩っぽくなかったけどねー」
「ふーん?どんな?」
「結構小さめで、童顔?あ、前にリュウの家行った時、その人がパジャマで出て来てさー」

やらしーと他の子たちが笑った。
身体が硬くなる。
聞きたくないのに、耳は勝手に言葉を拾っていく。

「でも、告白、するんでしょ?」
「んー…うん…言わないで卒業するのは悔しいし」
「そっか。頑張れー略奪しちゃえー!」

告、白…?
星くんに、するの?

どきどきと心臓がうるさい。
また、ぎゅうっと胸が苦しくなる。

いいじゃない、そんなの、個人の自由だし。
星くんがどうするかも、星くんの自由だし。

そんな風に自分に言い聞かせても、苦しさから抜け出せない。

星くん、こんな可愛い子に好きって言われたら…好きになっちゃうよね…
いつまでもぐずぐずしている私より、ずっと素敵だもの。

深いため息が零れた。
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