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忘れられる、キスを
第52章 DVD
激しい行為のあと、気付けば湯船の中で星くんにぎゅっと抱きしめられていた。
硬く、温かい肌の感触が心地よい。
こうして抱きしめられるのは好きだ。
……セックスよりも、キスよりも好き、と言ったら星くんは傷付くだろうか。

「ベッド、戻ろ」

ざばり、と星くんが立ち上がり、思わず目を伏せてしまう。

「まだ、足りない」
「え?」
「先輩が足りない……全然、足りない」

うそでしょ?
あんなに……あんなに激しくしていたのに…。
正直、私は立ち上がるのも辛いのに。

「ゴメンね、でも、好きなだけシよ、って言ったのは先輩だから」

言ったけど…!
でも、こんな…

「大丈夫。明日、休みだし」

何が大丈夫なの…

星くんは困惑気味の私を立たせ、浴室の外へと連れ出した。
すぐに大きなバスタオルで包まれた。
洗いたてのバスタオルは柔らかく、清潔な香りがしてホッとする。

「ね、今度はさ、ちょっと違うことしてみない?」
「違うこと…?」

意味深に笑う星くんに怖さ半分、期待も半分……いや、三分の一くらい。

「ビビんなくても、大丈夫」

ぱぱっと身体を拭いた星くんはバスタオルを腰に巻きつけると私を横抱きにした。
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