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忘れられる、キスを
第53章 ふたりぐらし
***

ああ、全部思い出してしまった。
恥ずかしさで、顔が熱くなる。
星くんにどんな顔で会ったらいいの…

「おはよ、絵津子さん」
「ひゃあっ」

急に声をかけられてまた叫んでしまう。

「そんな驚かなくても…」

昨日、あの後大変だったのに…とむくれ顔でぶつくさ文句を言う。

「絵津子さんてば、最後、俺にしがみついてイっちゃったあと、気絶しちゃったから、身体拭いたりするの大変だったんだよ」
「ご、ごめんなさ…」

そうだ、星くんに抱き締められたまま私…

「今日いい天気だから、シーツとベッドパッドすぐ乾きそうだね」

そう言って、洗濯機の中にリネン類を押し込む。
昨晩の失態を思い出して、また顔が熱くなった。

「ところで、そんな格好で、俺のこと誘ってる?」

羽織っていたシャツの裾をぴらりと捲られる。

「や、ち、ちが…」
「違くないでしょ…?ここ、触って欲しいって、言ってるよ?」

星くんがにやっと笑って、私の胸を突く。
見ると、薄いシャツごしにもはっきり分かるほど、その先端は主張し始めていた。
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