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忘れられる、キスを
第53章 ふたりぐらし
しばらく自己嫌悪で放心してしまった。
先輩の声が優しい。

ああ、まだ、足りない。
渇いて、渇いて、仕方ない。

もう一回を強請ったら、嫌がられるだろうか。

紅く痕の残る尻を撫でていると、先輩が恥ずかしそうにこちらを見上げ、もう一回、と呟いた。

本当に?もう一回、いいの?

はやる気持ちを抑えて、抱きしめる。
もう一度シたい、と強請る先輩に下半身が熱く勃ちあがる。
ベッドの上で向かい合って座り、抱きしめる。
尻を掴んで上下運動のサポートができるこの体勢は、苦悶する先輩の表情とふるふると揺れる小さな胸が堪能できる。
蜜を舌で掬いとれば、羞恥に満ちた声が響く。

既に何度も達している先輩には刺激が強すぎるのだろう。
俺が声をかける前に、自ら動き、自らを慰め、そのまま達してしまった。

呼吸が落ち着くのを見計らって、垂直に挿入する。
ナカがぴったりとハマる。
俺の、カタチだ。
きゅ、と甘い締め付けに、ゾクゾクする。
俺の愛撫に反応し、自らを快楽に委ねる先輩が可愛くて仕方がない。

「名前、呼んで?」

後輩のままじゃない、と思わせたくて、絵津子さん、と呼んでいるけど、俺は未だ、星くん、のままだ。
先輩後輩じゃない、もっと、近くに。

「りゅう、くん…」

ぎこちない呼び方でふっと身体が熱くなった。
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