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My sweet☆Angel 〜恋に落ちた堕天使
第10章 X

「ようこそいらっしゃいました、ルシフェル夫人
我が当主ラファエル様から丁重にもてなすよう承っております
どうぞこちらへ
ですが当主は只今療養中にございまして
本日のお目通りは少々難しいかと…」
「よろしくてよ、ご事情は神父様から伺っております
お気の毒に…お大事になさってくださいませね
近くを通りかかったものですから領主様にご挨拶だけでもと思いまして…お見舞いの品をお持ちしましたの
私も今日は疲れました
明日にでもご挨拶致しますわ」
「それはご丁寧に
では、お食事のご用意が出来ましたらお呼び致します
それ迄ごゆるりとお寛ぎくださいませ」
ジョセフは恭しく一礼すると部屋を後にした
*〜*〜*〜*〜*〜*〜*
夕食後の城内
石造りの廊下に妖しくも甘い香りを漂わせながら浮遊する細く長い影
雪の降り積もる中庭迄来ると一度動きが止まった
と、ラファエルの部屋のバルコニーに向きを変えて動き出した
息を吹き返して以来、すっかり不眠症になってしまったラファエルは書斎で今晩読む本を選んでいた
本棚のすぐ側のバルコニーに面した大きな両開きの窓がカタリと鳴った
今夜はやけに静かな風一つない夜なのに
変だな…
「誰かいるのか?」
扉を両側に開けると、ミッドナイトブルーの上質なシルク素材のローブを纏った見知らぬ女が立っていた
フードから裾まで真白い毛皮で豪華な縁取りが施されている
この世のものとは思えない、まるで氷の女王のように冷たい表情、妖艶な目つきをした顔がその真白い毛皮に包まれている
「このような所から失礼いたしました…食後のお散歩をしていたら、いつの間にか迷い込んでしまいましたの」
「私はこの城の主人ラファエル、貴女は?」
「あなたがラファエル様…ご挨拶が遅くなりました、私はルシフェルにございます」
「貴女がルシフェル夫人…」
「はい、お言葉に甘えてお世話になっております」
「城の居心地はいかがですか?足りない物があれば執事のジョセフに何なりとお申しつけください」
「お優しいお気遣い、ありがとうございます」

