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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
「―有喜菜に頼みがあるの」
 紗英子は改めて、知り合って三十五年になろうとする親友の顔を見つめた。
「私の赤ちゃんを産んでくれる?」
「紗英、何を言ってるの、私―」
 流石に有喜菜も言葉を失っている。
「代理出産を考えているのよ。その代理母の役目をあなたに引き受けて欲しいと思ってる」
 既によくよく考えた上での固い決意だったので、ひとたび話し出せば、言葉は自分でも意外なほどにすらすらと出てくる。
 対する有喜菜の方は予期せぬ展開に、衝撃も大きいようである。
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