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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
「一つ目の質問は、直輝がこのことを承諾しているのかってこと。あの人の性格からして、そこまで途方もないことにすんなり賛成するとは思えないもの。それから二つ目は、代理出産は日本では違法になる行為で、正当な医療行為とは認められないわ。その点について、紗英はどう考えてるの?」
「S市のエンジェル・クリニックって名前くらいは聞いたことがない?」
紗英子は今朝、クリニックの院長と直接、電話で話したこと、その内容の細部まで隠すことなく告げた。
「じゃあ、その病院にすべてを任せると?」
「そうね。海外へ行くとなると、言葉の問題もあるし、費用だけでも格段に跳ね上がってしまうから。幸い院長先生も引き受けても良いと言っているし、そこでお世話になろうと思う」
「私は一度、流産してる。三度目は不幸な事故のせいだったとしても、二度めも死産だった。確かに妊娠はできる身体かもしれないけれど、無事に赤ちゃんを産めるかどうか自信はないわ」
そのときだけ、有喜菜の声が揺れた。
「S市のエンジェル・クリニックって名前くらいは聞いたことがない?」
紗英子は今朝、クリニックの院長と直接、電話で話したこと、その内容の細部まで隠すことなく告げた。
「じゃあ、その病院にすべてを任せると?」
「そうね。海外へ行くとなると、言葉の問題もあるし、費用だけでも格段に跳ね上がってしまうから。幸い院長先生も引き受けても良いと言っているし、そこでお世話になろうと思う」
「私は一度、流産してる。三度目は不幸な事故のせいだったとしても、二度めも死産だった。確かに妊娠はできる身体かもしれないけれど、無事に赤ちゃんを産めるかどうか自信はないわ」
そのときだけ、有喜菜の声が揺れた。