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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
 やはり、自分は間違っていない。もうすぐ、もうすぐ、可愛い子どもをこの手に抱ける。あと少し辛抱すれば、自分もあんな愛らしい子どもの母親になれるだろう。ランドセルだって、買ってあげることができる。
 そうだ、生まれてくる赤ん坊が大きくなって小学校に入るときには、最高級のブランドランドセルを買ってあげよう。
 紗英子は少し気分が明るくなり、軽くハミングしながら歩き始めた。有喜菜とは逆方向―マンションへ向かって足取りも軽やかに歩き始める。夫直輝と自分の住まいに。 
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