この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第2章 RoundⅠ(喪失)♠
 名前が呼ばれるまでにはなお二十分ほどかかったが、それまでの時間の何と長く感じられたことか。むろん、皆、大人だ。あからさまな視線は寄越さないものの、時折、ちらちらと寄越される好奇心の入り混じった視線が堪らなくうっとうしいものに感じられた。
 紗英子はまたしても滲んできた涙をまたたきで散らした。待合室の片隅には大きなクリスマスツリーが飾られている。そういえば、あと二週間もしない中に、クリスマスがやってくる。
 その瞬間、自分たちの結婚記念日が三日後に迫っていたことに気づいた。直輝はこういった夫婦の記念日については結構、マメな男である。よく釣った魚に餌はやらないタイプの男もいるらしいが、彼は違った。夫婦の記念日には必ず結婚式を挙げたホテルに予約を入れ、ディナーをご馳走してくれる。また、そのときにプレゼントしてくれる贈り物も欠かさなかった。
 今、花柄のパジャマの上に肩から羽織っているのは、二年前にプレゼンしてくれたカシミヤのショールだ。赤と黒のオシャレなタータンチェックが印象的で、肌触りも良いし温もりもある。確か何とかいう有名なブランド物だとか直輝が言っていた。
 直輝は結婚前からオシャレでセンスもあった。何を隠そう、二人は中学時代からの同級生なのだ。元々は紗英子の親友の有喜(ゆき)菜(な)が直輝と同じクラスで、紗英子は有喜菜の紹介で直輝と知り合った。有喜菜と直輝が中一で同じクラスになり、席がたまたま隣同士になったことで意気投合したという。
 その後、二年で紗英子と直輝が同じクラスになり、有喜菜は一人、別のクラスになった。紗英子と直輝がつきあい始めたのはその頃からのことになる。
/401ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ