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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第5章 ♠RoundⅣ(踏み出した瞬間)♠
「とにかく、俺は反対だからな。お前が何と言おうと、今回だけは駄目だ。協力はしないぞ」
直輝は話にならないというように立ち上がった。
「もう今夜は寝む」
低い声で言い、立ち上がろうとした夫の前に、紗英子は突然回り込んだ。突然、通せんぼされた格好になり、直輝が眉を寄せた。
「どういうつもりだ?」
「お願い、あなた、もう一度だけ、せめて一度でも良いから協力して」
紗英子は涙ながらに懇願した。ここで夫に背を向けられたら、すべてがおしまいだ。何としてでも直輝に承諾させなければ。
「今夜はもう、この話は終わりだ」
直輝の声はゾッとするほど冷たかった。
紗英子は咄嗟にその場に正座し、両手をついた。
「お願いよ、たったの一度で良いから、あなたの精子を私にちょうだい」
「良い加減にしないか! 俺は協力はしないと言っている。何度同じことを言わせれば、気が済む?」
地獄の底を這うような不穏な声を出されても、紗英子は平然と夫の言葉に耳を傾けている。
直輝は話にならないというように立ち上がった。
「もう今夜は寝む」
低い声で言い、立ち上がろうとした夫の前に、紗英子は突然回り込んだ。突然、通せんぼされた格好になり、直輝が眉を寄せた。
「どういうつもりだ?」
「お願い、あなた、もう一度だけ、せめて一度でも良いから協力して」
紗英子は涙ながらに懇願した。ここで夫に背を向けられたら、すべてがおしまいだ。何としてでも直輝に承諾させなければ。
「今夜はもう、この話は終わりだ」
直輝の声はゾッとするほど冷たかった。
紗英子は咄嗟にその場に正座し、両手をついた。
「お願いよ、たったの一度で良いから、あなたの精子を私にちょうだい」
「良い加減にしないか! 俺は協力はしないと言っている。何度同じことを言わせれば、気が済む?」
地獄の底を這うような不穏な声を出されても、紗英子は平然と夫の言葉に耳を傾けている。