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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第6章 【後編】 ♦RoundⅤ(覚醒)♦
今でも、有喜菜はふと思うことがある。もしかして、紗英子は有喜菜の気持ちを知っていたのではないか? 有喜菜が直輝に淡い思慕を抱いていたことを承知の上で、直輝を奪ったのではないかと思えてならないときがある。
もちろん、奪うと言い方は適当ではない。有喜菜と直輝は当時、付き合っていたわけでも、彼氏と彼女というわけでもなかった。また、紗英子にも自分は直輝が好きだと打ち明けたこともなかったのだ。そんな状態で、紗英子が直輝に告白したからといって、抜け駆けしたとはいえない。
でも、有喜菜と直輝が別のクラスになって離れるやいなや、待っていたように直輝に近づいていった紗英子のやり方は何か抜け目のなさを漂わせているようでもあった。
まあ、今となっては言っても詮のないことではある。あの時、直輝は紗英子が告白しても断ろうと思えば断れたのに、それを受け容れ紗英子と付き合い始めたのだから。むしろ有喜菜が先に告白していても、直輝が受け容れたかどうかは疑わしく、かえってフラレて気まずくなるよりは、気心の知れた友達関係を維持できたことに感謝するべきなのかもしれない。
もちろん、奪うと言い方は適当ではない。有喜菜と直輝は当時、付き合っていたわけでも、彼氏と彼女というわけでもなかった。また、紗英子にも自分は直輝が好きだと打ち明けたこともなかったのだ。そんな状態で、紗英子が直輝に告白したからといって、抜け駆けしたとはいえない。
でも、有喜菜と直輝が別のクラスになって離れるやいなや、待っていたように直輝に近づいていった紗英子のやり方は何か抜け目のなさを漂わせているようでもあった。
まあ、今となっては言っても詮のないことではある。あの時、直輝は紗英子が告白しても断ろうと思えば断れたのに、それを受け容れ紗英子と付き合い始めたのだから。むしろ有喜菜が先に告白していても、直輝が受け容れたかどうかは疑わしく、かえってフラレて気まずくなるよりは、気心の知れた友達関係を維持できたことに感謝するべきなのかもしれない。