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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第6章 【後編】 ♦RoundⅤ(覚醒)♦
―代理母の話よ。引き受けると言ったでしょう。だから、早く進めて欲しいの。
―そうは言っても―。
口ごもる紗英子に、有喜菜は早口で告げた。
―決心が揺るがない中に、さっさと済ませたいの。あなたも判るでしょ。こんなことは、なかなか決断できるようで、できないことなの。
少しの沈黙の後、紗英子が静かに言った。
―判った。私もどうせ、そのつもりなのよ。こうと決めたら、少しでも早い方が良いと思うのは同じ。でも、今は年末だし、とりあえず年明けを待ちましょう。
―時間が経つのがこれほどもどかしく感じられたことはないわ。
かなりの酒量を過ごしたので、呂律(ろれつ)も怪しくなっていたに違いない。
やあやあって、紗英子が気遣わしげに問うてきた。
―大丈夫? お酒、飲んでるのよね?
当たり前よと怒鳴ってやりたかった。こんなことは、とことん酔っぱらって正気を手放してしまわなければ、決断なんてできない。あなたを長年の親友だと信じていた私に、あなたはそれほどのことを要求してきたのよ。その自覚はある?
―そうは言っても―。
口ごもる紗英子に、有喜菜は早口で告げた。
―決心が揺るがない中に、さっさと済ませたいの。あなたも判るでしょ。こんなことは、なかなか決断できるようで、できないことなの。
少しの沈黙の後、紗英子が静かに言った。
―判った。私もどうせ、そのつもりなのよ。こうと決めたら、少しでも早い方が良いと思うのは同じ。でも、今は年末だし、とりあえず年明けを待ちましょう。
―時間が経つのがこれほどもどかしく感じられたことはないわ。
かなりの酒量を過ごしたので、呂律(ろれつ)も怪しくなっていたに違いない。
やあやあって、紗英子が気遣わしげに問うてきた。
―大丈夫? お酒、飲んでるのよね?
当たり前よと怒鳴ってやりたかった。こんなことは、とことん酔っぱらって正気を手放してしまわなければ、決断なんてできない。あなたを長年の親友だと信じていた私に、あなたはそれほどのことを要求してきたのよ。その自覚はある?