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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第7章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
「まあ、お母さんになるっていう人が甘えん坊の子どもみたいになっちゃって、どうするの? 今日の紗英は変ね。泣いたり笑ったり、怒ったり、色々と忙しいのね」
「だって、やっと赤ちゃんが、私たちの赤ちゃんが生まれるんだもの。もう嬉しくて嬉しくて頭がどうにかなりそう。きっと直輝さんも歓ぶわね」
「さあ、それはどうかしら」
 ややあって、有喜菜が呟いた言葉は、ついいに紗英子に届くことはなかった。有喜菜は泣きじゃくる紗英子を抱きしめ、それこそ本物の母親のように優しげな手つきで背を撫でていたけれど―、それにしては、彼女は静まり返った湖のような沈黙を纏い、その表情はあまりにも変化に乏しかった。
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