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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第7章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
あの日の、二十三年前の衝撃の瞬間は今も忘れがたい屈辱となって、有喜菜を責めさいなむ。
―ねえ、有喜菜。聞いて聞いて。今日、学校で昼休みに直輝君に告白したのよ、私。
何も知らない無邪気なふりを装い、有喜菜を出し抜き、知らない間に直輝に接近していった紗英子。まるで泥棒猫のように、直輝を有喜菜から奪っていった―。
紗英子から直輝に告白したのだと打ち明けられた刹那、有喜菜は眼の前が真っ白になったものだった。
―それで、どうなったの?
放課後、学校からの帰り道、川沿いの土手を並んで歩きながら、有喜菜は声を震わせないようにするのが精一杯であった。
―うふっ、直輝君ってば照れまくって、〝良いよ、俺で良ければ付き合おう〟ですって。
紗英子はそれからも煩くさえずっていたが、有喜菜はもう何も耳には入らなかった。
直輝が、直輝が紗英子の告白を受け容れた。その重い事実だけが有喜菜の心を支配し、打ちのめした。
―ねえ、有喜菜。聞いて聞いて。今日、学校で昼休みに直輝君に告白したのよ、私。
何も知らない無邪気なふりを装い、有喜菜を出し抜き、知らない間に直輝に接近していった紗英子。まるで泥棒猫のように、直輝を有喜菜から奪っていった―。
紗英子から直輝に告白したのだと打ち明けられた刹那、有喜菜は眼の前が真っ白になったものだった。
―それで、どうなったの?
放課後、学校からの帰り道、川沿いの土手を並んで歩きながら、有喜菜は声を震わせないようにするのが精一杯であった。
―うふっ、直輝君ってば照れまくって、〝良いよ、俺で良ければ付き合おう〟ですって。
紗英子はそれからも煩くさえずっていたが、有喜菜はもう何も耳には入らなかった。
直輝が、直輝が紗英子の告白を受け容れた。その重い事実だけが有喜菜の心を支配し、打ちのめした。