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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第7章 ♦RoundⅥ(天使の舞い降りた日)♦
これから十ヶ月間、自分は子どもをこの身体の中で育てる。その事実が今初めて、ひしひしと迫ってきた。これが自分自身の子であれば歓びも湧こうが、この子は間違っても有喜菜の子ではない。憎い―あの女の子だ。
憎い? 私が紗英子を憎んでいる?
これまで一度も憎んだことなどなかったのに、今、自分は確かに紗英子を憎いと思った。
有喜菜はそっと腹部を押さえた。ここに新しい生命が息づいている。そう思っても何の感慨も子どもへの愛おしさも湧かなかった。
しかし、この子は紗英子の子であると同時に直輝の子でもあった。うまくいけば、この子は二十三年前に途切れた男との縁を繋いでくれるかもしれない。
いや、子どもなんてこの際、どうでも良い。
私はもう昔の私ではない。親友だと信じていた女に大好きだった彼を横取りされて、ただ泣いて堪えていた十三歳の私ではないのだ。
―ウシナッタカコヲトリモドシテ、ナニガワルイノ? サエコガカレヲヨコドリシナケレバ、カレハワタシノモノニナッテイタカモシレナイノニ。
憎い? 私が紗英子を憎んでいる?
これまで一度も憎んだことなどなかったのに、今、自分は確かに紗英子を憎いと思った。
有喜菜はそっと腹部を押さえた。ここに新しい生命が息づいている。そう思っても何の感慨も子どもへの愛おしさも湧かなかった。
しかし、この子は紗英子の子であると同時に直輝の子でもあった。うまくいけば、この子は二十三年前に途切れた男との縁を繋いでくれるかもしれない。
いや、子どもなんてこの際、どうでも良い。
私はもう昔の私ではない。親友だと信じていた女に大好きだった彼を横取りされて、ただ泣いて堪えていた十三歳の私ではないのだ。
―ウシナッタカコヲトリモドシテ、ナニガワルイノ? サエコガカレヲヨコドリシナケレバ、カレハワタシノモノニナッテイタカモシレナイノニ。