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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅦ(再会)♦
あの太陽のように明るかった有喜菜をここまで哀しませたのは、どんな男だったのか。紗英子から有喜菜の悲惨な結婚生活はあらかた聞かされていたものの、今、彼女のしおれた花のような様を見ていると、逢わなかったこの二十年余りの間、有喜菜が過ごしてきた日々の大変さが改めて感じられた。
「子どもは? 確か、大分前に紗英子から君が妊娠したことを聞いたような気もするけど」
水を向けてみると、有喜菜は曖昧な笑みを浮かべた。
「いないわ。三回妊娠したけど、どの子も育たなかったの。一度目は八週で流産、二人目は六ヶ月まで育ったのに死産になってね。三度目は四ヶ月でまた駄目になっちゃった」
語尾がかすかに震え、直輝はハッとした。
有喜菜の翳を落とす長い睫がかすかに震え、露の滴が宿っていた。
「ごめん、心ないことを訊ねてしまった」
直輝は狼狽え、マスターに作って貰った水割りをひと息に煽った。有喜菜のドレスに包まれた肢体はほっそりとしていながら、肉感的だ。つんと上を向いた乳房は形も良いし、ウエストは細く、女性的なふくらみを保ちつつ、余計な肉は一切ついていない。
「子どもは? 確か、大分前に紗英子から君が妊娠したことを聞いたような気もするけど」
水を向けてみると、有喜菜は曖昧な笑みを浮かべた。
「いないわ。三回妊娠したけど、どの子も育たなかったの。一度目は八週で流産、二人目は六ヶ月まで育ったのに死産になってね。三度目は四ヶ月でまた駄目になっちゃった」
語尾がかすかに震え、直輝はハッとした。
有喜菜の翳を落とす長い睫がかすかに震え、露の滴が宿っていた。
「ごめん、心ないことを訊ねてしまった」
直輝は狼狽え、マスターに作って貰った水割りをひと息に煽った。有喜菜のドレスに包まれた肢体はほっそりとしていながら、肉感的だ。つんと上を向いた乳房は形も良いし、ウエストは細く、女性的なふくらみを保ちつつ、余計な肉は一切ついていない。