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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅦ(再会)♦
 三十六歳でしかも三度も妊娠していながら、この体型を維持できているのは奇蹟だとしか言いようがない。―と、即座に見ないふりをして有喜菜の身体を見てしまうのは、やはり助平なエロ親父と呼ばれる年代になってしまったからだろうか。
 どうも意識すればするほど、豊かな胸のふくらみや、スカートのスリットから覗く魅惑的な長い足に意識が向いてしまうようだ、その注意を逸らそうと酒を飲んでみるが、むしいろ逆効果で、飲めば飲むほど、視線は有喜菜の乳房にいってしまう。
 一方の有喜菜はアルコール類ではなく、ウーロン茶だけを飲み続けている。
「私、あなたのことが好きだったのよ。でも、あなたは紗英子のことしか見ていなくて、私なんか眼中になかった」
 だから、突然、有喜菜が発した言葉は最初、直輝には全く意味をなさずに飛び込んできた。
「え?」
 自分でもみっともないと思うほど素っ頓狂な声が上がった。
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