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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅦ(再会)♦
あれから既に何度か紗英子と共にS市のクリニックに行き、妊娠は確定だと言われている。ひと月経った今では、エコーに胎児の姿も確認され、心臓が動いている様子も見ていた。
紗英子との間は別段、変わってはいない。今までにない微妙なよそよそしさは否めないが、上辺は穏やかで無難なやりとりが続いている。紗英子も今では有喜菜の私生活についてあれこれ口出しはしない。有喜菜は今でも相変わらずヒールの高いパンプスを履き、ウエストもベルトで締め上げている。
悪阻も当初予想していたほどではなく、これまでどおり軽かったので、食べたい物を食べたいだけ食べていた。要するに、妊娠したからといって、生活パターンは何も変えていない。
紗英子の表情から、言いたいことは山ほどあるようだが、少なくとも干渉や批判めいた科白はなかった。
「信じられない」
直輝は呻き、真実を否定するかのように首を振った。
紗英子との間は別段、変わってはいない。今までにない微妙なよそよそしさは否めないが、上辺は穏やかで無難なやりとりが続いている。紗英子も今では有喜菜の私生活についてあれこれ口出しはしない。有喜菜は今でも相変わらずヒールの高いパンプスを履き、ウエストもベルトで締め上げている。
悪阻も当初予想していたほどではなく、これまでどおり軽かったので、食べたい物を食べたいだけ食べていた。要するに、妊娠したからといって、生活パターンは何も変えていない。
紗英子の表情から、言いたいことは山ほどあるようだが、少なくとも干渉や批判めいた科白はなかった。
「信じられない」
直輝は呻き、真実を否定するかのように首を振った。