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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅦ(再会)♦
もちろん、有喜菜が紗英子に同情や共感を示して、有喜菜自身の意思で協力しようと申し出たのなら、また話は別だ。だが、話の流れからして、どうもそうではないようだし、第一、紗英子の思い込みの激しい性格からすれば、有喜菜に代理出産を頼むのを躊躇いはしないだろう。
紗英子は、自分がずっと恋人であり妻だと思い続けてきた女は、親友にそこまで非常識なことを頼んだのか。相手の都合や考えをろくに考慮せずに、代理母になれと。紗英子にもし少しでも有喜菜を想う気持ちがあれば、間違っても、そんなことを頼みはしなかったろう。つまるところ、彼の妻は親友である有喜菜を自分の夢を叶えるための道具としか見なさなかったのだ。
「済まない。本当に、何をどう言って謝ったら良いか判らないよ」
結局、紗英子は有喜菜の身体を利用したにすぎない。医療が発達した現代でも、年に数人はお産で生命を落とす不運な人もいるのだ。その生命賭けともいえる出産を自分の身勝手で大切な存在であるはずの親友に頼むなんて、直輝には信じられないことだ。
紗英子は、自分がずっと恋人であり妻だと思い続けてきた女は、親友にそこまで非常識なことを頼んだのか。相手の都合や考えをろくに考慮せずに、代理母になれと。紗英子にもし少しでも有喜菜を想う気持ちがあれば、間違っても、そんなことを頼みはしなかったろう。つまるところ、彼の妻は親友である有喜菜を自分の夢を叶えるための道具としか見なさなかったのだ。
「済まない。本当に、何をどう言って謝ったら良いか判らないよ」
結局、紗英子は有喜菜の身体を利用したにすぎない。医療が発達した現代でも、年に数人はお産で生命を落とす不運な人もいるのだ。その生命賭けともいえる出産を自分の身勝手で大切な存在であるはずの親友に頼むなんて、直輝には信じられないことだ。