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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第8章 ♦RoundⅦ(再会)♦
「ほ、本当か?」
思わず手が伸び、有喜菜のドレス越しに触れていた。
「あ、ごめん」
直輝は紅くなって、まるで火傷したかのように手を引っこめる。有喜菜が笑いながら言った。
「良いのよ。良かったら、触ってみて」
有喜菜当人の許可を得て、直輝はそろそろと再び手を伸ばした。今度はゆっくりとドレス越しの腹を撫でてみる。確かに、よくよく気をつけなければ判らないほどであるが、ふっくらと盛り上がりかけている。
「あ―」
直輝は声を上げ、言葉を失った。
ここに、このほんの少し膨らみかけた有喜菜の腹の中に、俺の子がいる。俺の、俺の血を分けた我が子が育っている。
直輝の胸に熱いものが込み上げた、不覚にも涙が出そうになり、彼は慌てて横を向いた。
そのときだけ、彼は紗英子が何故、あそこまで我が子を得ることに狂騒しているのか少しだけその心が理解できたような気もした。
思わず手が伸び、有喜菜のドレス越しに触れていた。
「あ、ごめん」
直輝は紅くなって、まるで火傷したかのように手を引っこめる。有喜菜が笑いながら言った。
「良いのよ。良かったら、触ってみて」
有喜菜当人の許可を得て、直輝はそろそろと再び手を伸ばした。今度はゆっくりとドレス越しの腹を撫でてみる。確かに、よくよく気をつけなければ判らないほどであるが、ふっくらと盛り上がりかけている。
「あ―」
直輝は声を上げ、言葉を失った。
ここに、このほんの少し膨らみかけた有喜菜の腹の中に、俺の子がいる。俺の、俺の血を分けた我が子が育っている。
直輝の胸に熱いものが込み上げた、不覚にも涙が出そうになり、彼は慌てて横を向いた。
そのときだけ、彼は紗英子が何故、あそこまで我が子を得ることに狂騒しているのか少しだけその心が理解できたような気もした。