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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第3章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
他人はよく、それだけ正反対なのに、親友でいられるねと感心するけれど、磁石の対極が引き合うように、かえってタイプが異なるところが今日まで親友でいられた原因なのだろうと思っている。
「このお皿、良い感じ。うちにも欲しいわぁ」
紗英子の思惑など頓着なさそうに、有喜菜は皿の検分などしている。
「どこのブランドかしらね、シンプルだけどオシャレじゃない?」
つられて、つい紗英子も皿を見た。既にチーズケーキは半分以上なくなっている。確かに有喜菜の言うように、白い皿の周囲を緑のアイビーが縁取っている、ごくプレーンな皿である。しかし、流石にこの店が使っている品だけであり、さりげなく上品でオシャレだ。
「そうね。後でお店の人に訊ねてみたら? 判るんじゃない」
「そうね」
有喜菜は屈託なく頷き、また忙しくフォークでケーキを崩しては口に運んでいる。
紗英子はまた物想いに沈んだ。どうして、今日、自分は親友をまるで品定めか観察でもするかのように眺めてしまうのだろう。少なくとも、手術すると決まったと知らせて逢ったときには、こんなことはなかったはずだ。
最後に逢ったのはまだ二ヶ月ほど前でしかないのに、自分は随分と変わった―いや、有喜菜を見つめる視線が変化したような気がする。しかも、それはあまり良い意味での変化ではない。
「このお皿、良い感じ。うちにも欲しいわぁ」
紗英子の思惑など頓着なさそうに、有喜菜は皿の検分などしている。
「どこのブランドかしらね、シンプルだけどオシャレじゃない?」
つられて、つい紗英子も皿を見た。既にチーズケーキは半分以上なくなっている。確かに有喜菜の言うように、白い皿の周囲を緑のアイビーが縁取っている、ごくプレーンな皿である。しかし、流石にこの店が使っている品だけであり、さりげなく上品でオシャレだ。
「そうね。後でお店の人に訊ねてみたら? 判るんじゃない」
「そうね」
有喜菜は屈託なく頷き、また忙しくフォークでケーキを崩しては口に運んでいる。
紗英子はまた物想いに沈んだ。どうして、今日、自分は親友をまるで品定めか観察でもするかのように眺めてしまうのだろう。少なくとも、手術すると決まったと知らせて逢ったときには、こんなことはなかったはずだ。
最後に逢ったのはまだ二ヶ月ほど前でしかないのに、自分は随分と変わった―いや、有喜菜を見つめる視線が変化したような気がする。しかも、それはあまり良い意味での変化ではない。