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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅧ 予知夢~黒い霧~♦
「常位胎盤早期剥離ですって?」
紗英子は唇を戦慄かせた。だてに子どもを望んでいたわけではない。出産経験はなくても、その言葉の意味するものがどれほど危険かという知識くらいはあった。
常位胎盤早期剥離。その名のごとく、胎盤が出産を待たずして先に剥離、つまり、剝がれ落ちてしまうことをいう。この場合、早急に手を打たねば、胎児はもちろん、当の妊婦までもが大量出血をきたし、死亡に陥る。
「どうして、そんなことに―」
紗英子はやり切れない想いで涙ぐんだ。紗英子の心中など頓着しないかのように、直輝は極めて事務的な口調で続ける。
紗英子は唇を戦慄かせた。だてに子どもを望んでいたわけではない。出産経験はなくても、その言葉の意味するものがどれほど危険かという知識くらいはあった。
常位胎盤早期剥離。その名のごとく、胎盤が出産を待たずして先に剥離、つまり、剝がれ落ちてしまうことをいう。この場合、早急に手を打たねば、胎児はもちろん、当の妊婦までもが大量出血をきたし、死亡に陥る。
「どうして、そんなことに―」
紗英子はやり切れない想いで涙ぐんだ。紗英子の心中など頓着しないかのように、直輝は極めて事務的な口調で続ける。