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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第10章 ♦RoundⅧ 予知夢~黒い霧~♦
やはり、直輝の側にいるべきだったのは、この自分ではなく有喜菜であったのか。
紗英子はもう、どれほど言葉を尽くそうと、夫の心を取り戻せないことを知った。
「子どものこれからの養育費はもちろん、俺がすべて負担する。お前が生んだというのならば、認知もできようが、残念ながら、今のこの国の法律ではそれも認められない。だが、たとえ戸籍上は赤の他人でも、この子が俺の子どもだという事実は変わらないし否定するつもりもないんだ。それだけは理解して欲しい」
去ってゆく直輝にできることは、それが精一杯だと判っていた。彼は彼なりに最後まで誠意を尽くそうとしているのだ。不実な男であれば、代理出産は紗英子一人が勝手に行ったことと言い逃れて知らん顔もできるのだから。
「判ったわ」
「じゃあ。俺はもう行くよ」
紗英子はもう、どれほど言葉を尽くそうと、夫の心を取り戻せないことを知った。
「子どものこれからの養育費はもちろん、俺がすべて負担する。お前が生んだというのならば、認知もできようが、残念ながら、今のこの国の法律ではそれも認められない。だが、たとえ戸籍上は赤の他人でも、この子が俺の子どもだという事実は変わらないし否定するつもりもないんだ。それだけは理解して欲しい」
去ってゆく直輝にできることは、それが精一杯だと判っていた。彼は彼なりに最後まで誠意を尽くそうとしているのだ。不実な男であれば、代理出産は紗英子一人が勝手に行ったことと言い逃れて知らん顔もできるのだから。
「判ったわ」
「じゃあ。俺はもう行くよ」