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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第3章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
「通の方には、その良さがお解りになるという本物の中の本物と言えば良いのでしょうか」
「そう、なんですか」
コーヒーの宣伝ではないけれど、要するに違いが判る男には判るということだろう。何とはなく納得して、紗英子はその時計を包んで貰うことにした。
「きっと歓ばれると思いますよ。コレクションをなさるほどの方なら、既にもうたくさんのブランド品や珍しいものをお持ちでしょうし、かえって、こういう逸品というか希少価値のあるものを好まれる傾向がありますから」
一点一点すべて、凜太という若い職人が手作りするため、その分、値段は張る。紗英子が選んだのは五万ちょっとかかった。当然ながら、そんな大金は持参しているはずもなく、支払いはカードで済ませた。
「今、キャンペーンやってるんで、良かったら、お子さまに差し上げてください」
と、風船とチョコレートの詰め合わせの入った小さな袋を貰った。
「いえ、うちは―」
子どもがいないんですと言おうとして、面倒臭くなって止めた。
ギフト用に包んで貰い、店員の〝ありがとうございます〟という愛想の良い声に見送られて店を出た。
「そう、なんですか」
コーヒーの宣伝ではないけれど、要するに違いが判る男には判るということだろう。何とはなく納得して、紗英子はその時計を包んで貰うことにした。
「きっと歓ばれると思いますよ。コレクションをなさるほどの方なら、既にもうたくさんのブランド品や珍しいものをお持ちでしょうし、かえって、こういう逸品というか希少価値のあるものを好まれる傾向がありますから」
一点一点すべて、凜太という若い職人が手作りするため、その分、値段は張る。紗英子が選んだのは五万ちょっとかかった。当然ながら、そんな大金は持参しているはずもなく、支払いはカードで済ませた。
「今、キャンペーンやってるんで、良かったら、お子さまに差し上げてください」
と、風船とチョコレートの詰め合わせの入った小さな袋を貰った。
「いえ、うちは―」
子どもがいないんですと言おうとして、面倒臭くなって止めた。
ギフト用に包んで貰い、店員の〝ありがとうございます〟という愛想の良い声に見送られて店を出た。