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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第3章 ♠RoundⅡ(哀しみという名の現実)♠
「拓也、知らない人から物を貰っちゃいけないって言ってるでしょう」
後ろからやってきた母親から、きつい声が飛んでくる。
「お久しぶりです。赤ちゃん、また少し大きくなりましたね」
紗英子が改めて声をかけると、母親が不審げなまなざしをくれ、次いでハッとした表情になった。
「病院にいた方ですよね? もう、退院されたんですか?」
「はい。といっても、つい三日前のことですけど」
紗英子が微笑むのに、母親は曖昧な笑みを浮かべた。
「それは良かったです」
更に、チョコレートと風船を両手に持って飛び跳ねる息子を一瞥した。
「申し訳ありませんが、息子には甘いものは虫歯になるので与えない主義なもので」
と、拓也の手からチョコレートを引き取るようにして奪い、突き返してきた。
「おい、良いじゃないか。折角下さったんだ。失礼だぞ」
見かねたのか、傍らに立っていた男性が割って入った。ピンクのウサギの着ぐるみを着た赤ん坊を抱いているところからして、拓也の父親だろう。
「こういうことは、言いにくいからこそ、きちんと言った方が良いのよ」
暗に〝あなたは黙っておいてちょうだい〟と言わんばかりの態度に、夫も鼻白んだように押し黙った。
後ろからやってきた母親から、きつい声が飛んでくる。
「お久しぶりです。赤ちゃん、また少し大きくなりましたね」
紗英子が改めて声をかけると、母親が不審げなまなざしをくれ、次いでハッとした表情になった。
「病院にいた方ですよね? もう、退院されたんですか?」
「はい。といっても、つい三日前のことですけど」
紗英子が微笑むのに、母親は曖昧な笑みを浮かべた。
「それは良かったです」
更に、チョコレートと風船を両手に持って飛び跳ねる息子を一瞥した。
「申し訳ありませんが、息子には甘いものは虫歯になるので与えない主義なもので」
と、拓也の手からチョコレートを引き取るようにして奪い、突き返してきた。
「おい、良いじゃないか。折角下さったんだ。失礼だぞ」
見かねたのか、傍らに立っていた男性が割って入った。ピンクのウサギの着ぐるみを着た赤ん坊を抱いているところからして、拓也の父親だろう。
「こういうことは、言いにくいからこそ、きちんと言った方が良いのよ」
暗に〝あなたは黙っておいてちょうだい〟と言わんばかりの態度に、夫も鼻白んだように押し黙った。