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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第2章 RoundⅠ(喪失)♠
治療が始まった。二週間に一度の通院は、バスや電車を乗り継いで片道二時間を要する。それでも、紗英子は根気よく通院を続けた。そこの病院は県下でも有名な不妊治療専門医がいて、現実に妊娠を希望する不妊カップルの五組に一組が妊娠に成功しているという実績がある。そこ以外には考えられなかった。
治療の甲斐あってか、卵管の通りは良くなり、排卵には問題が殆どなくなった。そこまでで治療を始めて二年が経過していた。子宮筋腫の方ももちろん薬での治療は続けていたけれど、目立った改善はなかった。
三〇歳になっていたこともあり、いよいよ本格的な不妊治療が始まった。ここからはもちろん直輝の協力がなくてはならず、まずは排卵のタイミングに合わせて夫婦生活をするタイミング法を試みてから、人工授精に移った。しかし、一向に天使は舞い降りてこなかった。当然のように治療はどんどん高度化してゆく。
治療の甲斐あってか、卵管の通りは良くなり、排卵には問題が殆どなくなった。そこまでで治療を始めて二年が経過していた。子宮筋腫の方ももちろん薬での治療は続けていたけれど、目立った改善はなかった。
三〇歳になっていたこともあり、いよいよ本格的な不妊治療が始まった。ここからはもちろん直輝の協力がなくてはならず、まずは排卵のタイミングに合わせて夫婦生活をするタイミング法を試みてから、人工授精に移った。しかし、一向に天使は舞い降りてこなかった。当然のように治療はどんどん高度化してゆく。