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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第4章 ♠ RoundⅢ(淫夢)♠
忌まわしい夢を見てしまったあの朝、直輝はとうとうマンションには戻らなかった。そのまま出社したようだ。ご丁寧に着替えまで持って出かけたのかどうかは知らないが、帰ってこなかったところを見ると、紗英子の嫌な想像は当たらずとも遠からずなのかもしれない。
もっとも、酒を飲むだけ飲んでカプセルホテルかビジネスホテルに泊まるという線もあるから、外泊だけで夫が他の女と寝たとは限らないけれど。
しかし、自分の見たあの淫らな夢がもしかしたら、正夢だったのかもしれないとも思えた。いずれにせよ、直輝にあの夜をどこでどう過ごしたかなんて、訊ねる気はさらさらない。
いや、もしかしたら、自分は怖いのかもしれない。もし夫に訊ねて、あっさりと真実を白状されたら、その時、自分はどのような反応をするのだろう。他の女と寝たと堂々と宣言した夫と一つ屋根の下に暮らせるだろうか?
応えはNOだ。何事にも潔癖で周囲からはいささか面白くないとまで評される常識家の自分。そんな自分が浮気を認めた夫を許せるとは思えない。今の安定した暮らしを失いたくないのであれば、ひたすら口をつぐんで知らないふりを通すしかないのだ。
もっとも、酒を飲むだけ飲んでカプセルホテルかビジネスホテルに泊まるという線もあるから、外泊だけで夫が他の女と寝たとは限らないけれど。
しかし、自分の見たあの淫らな夢がもしかしたら、正夢だったのかもしれないとも思えた。いずれにせよ、直輝にあの夜をどこでどう過ごしたかなんて、訊ねる気はさらさらない。
いや、もしかしたら、自分は怖いのかもしれない。もし夫に訊ねて、あっさりと真実を白状されたら、その時、自分はどのような反応をするのだろう。他の女と寝たと堂々と宣言した夫と一つ屋根の下に暮らせるだろうか?
応えはNOだ。何事にも潔癖で周囲からはいささか面白くないとまで評される常識家の自分。そんな自分が浮気を認めた夫を許せるとは思えない。今の安定した暮らしを失いたくないのであれば、ひたすら口をつぐんで知らないふりを通すしかないのだ。