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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第4章 ♠ RoundⅢ(淫夢)♠
だが、本当のところ、自分は何を望んでいるのだろうか。夫に守られる安穏な主婦としての日々? それとも、直輝自身を失いたくないと思っている? 彼を誰にも渡したくないと思っているのか?
多分、そのどちらもが本音なのに違いない。自分では認めたくないけれど、この男に愛想が尽きたと言いながらも、心のどこかで自分はまだ夫を愛している。手放したくないと思っている。
だが、直輝の方はどうなのだろう。昨夜の言葉を聞いた限りでは、あまり見込みはなさそうに思える。あれを聞かなければ、入院中、彼が見せてくれた数々の優しさや労りを心から信じ、彼はまだ自分を愛していると信じられたことだろうが。
紗英子が想いに耽っていると、ふいに間近で深みのある声が響いた。
「ハッピー・クリスマス」
ざっくりとした緑のタートルセーターに、チャコールブラウンのゴーデュロイのズボンは彼のモデル並の体躯を際立たせている。近づいた拍子に、夫がいつもつけているローションの香りが鼻腔をくすぐった。
深い森林を思わせるような、ほのかな白檀の香り。
多分、そのどちらもが本音なのに違いない。自分では認めたくないけれど、この男に愛想が尽きたと言いながらも、心のどこかで自分はまだ夫を愛している。手放したくないと思っている。
だが、直輝の方はどうなのだろう。昨夜の言葉を聞いた限りでは、あまり見込みはなさそうに思える。あれを聞かなければ、入院中、彼が見せてくれた数々の優しさや労りを心から信じ、彼はまだ自分を愛していると信じられたことだろうが。
紗英子が想いに耽っていると、ふいに間近で深みのある声が響いた。
「ハッピー・クリスマス」
ざっくりとした緑のタートルセーターに、チャコールブラウンのゴーデュロイのズボンは彼のモデル並の体躯を際立たせている。近づいた拍子に、夫がいつもつけているローションの香りが鼻腔をくすぐった。
深い森林を思わせるような、ほのかな白檀の香り。