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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第2章 RoundⅠ(喪失)♠
 夫が態度では協力しながらも、けして心から望んで治療しているわけではないのだと知っていた。だが、紗英子はその事実には眼を瞑り、ひたすら治療に専念した。可愛い赤ちゃんを見れば、直輝もやはり治療を止めないで良かった、諦めないで良かったと思うに違いない。だから、頑張ろう、頑張るしかないと自分にひたすら言い聞かせるしかなかった。
 だが、天の神さまは容赦がなかった。長い不妊治療の間には、たくさんの強い薬が使われた。紗英子はそれらの薬の副作用で、著しく体調を崩すことになってしまったのだ。医師も気の毒そうに、一時治療を中断せざるを得ないと言った。それが三十二歳になる直前のこと。
 それでも紗英子は諦めず、体調を元に戻すための苦い漢方薬も飲み続け、次のチャンスを待った。一年後、やっと体調も戻り、いざ治療を再開しようとするときになって、また別の問題が発覚する。それは若いときから持っていた子宮筋腫の著しい悪化であった。これまでは薬で様子を見守ってきたが、もう手術しないといけないところまで来てしまった。
 紗英子は一度目の手術を受けて、子宮の一部を摘出した。妊娠を強く望んでいるため、もちろん、子宮そのものは残している。仮に妊娠したとしたら、流産の確率は高くなるし、出産も帝王切開で行うことになるけれど、それでも、妊娠できないよりははるかに良い。
 一縷の望みを賭けて、再び治療が始まった。更に二年が経っても、紗英子は妊娠できないままだった。そして、最後通牒が突きつけられた。子宮筋腫の再発。
 もう、これ以上の子宮温存はできないと言われた。万が一、温存したとしても、妊娠する可能性は限りなく低く、かえって病気の再々発を招く原因になるだけだとも。
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