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Tears【涙】~神さまのくれた赤ん坊~
第4章 ♠ RoundⅢ(淫夢)♠
直輝について、私に知らないことはない。
妻の自信というものだ。夫に愛される妻だけに許された特権。
また、あの女の顔が瞼に浮かんで消える。
「昨日の夜、私がプレゼントした時計ね」
「ああ」
直輝が煙草の先をクリスタルの灰皿に押しつけた。おもむろに起き上がり、紗英子を見つめる。
「凜工房の時計なんて、なかなか手に入らないんだ。何しろ一人の職人が一つ一つ手作りで拵えている稀少品だから、大量生産できない。時計マニアなら、誰でも欲しがる垂涎の品さ」
直輝は腕に填めた時計を見て、満足そうに言う。
「それにしても、紗英子が凜工房を知ってるなんて、少し愕いたよ」
「直輝さんって、時計マニアなの?」
え、と、小さな呟きが洩れた。意外なことを言われたと思ったのは明白だ。直輝は眼をわずかに見開いて紗英子を見返した。
妻の自信というものだ。夫に愛される妻だけに許された特権。
また、あの女の顔が瞼に浮かんで消える。
「昨日の夜、私がプレゼントした時計ね」
「ああ」
直輝が煙草の先をクリスタルの灰皿に押しつけた。おもむろに起き上がり、紗英子を見つめる。
「凜工房の時計なんて、なかなか手に入らないんだ。何しろ一人の職人が一つ一つ手作りで拵えている稀少品だから、大量生産できない。時計マニアなら、誰でも欲しがる垂涎の品さ」
直輝は腕に填めた時計を見て、満足そうに言う。
「それにしても、紗英子が凜工房を知ってるなんて、少し愕いたよ」
「直輝さんって、時計マニアなの?」
え、と、小さな呟きが洩れた。意外なことを言われたと思ったのは明白だ。直輝は眼をわずかに見開いて紗英子を見返した。