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愛玩寵姫 - Dream Dolls - 茉奈
第5章 ●わたしのアソコがおかしいの…
「……パパは…知っていて私に、この、『薬』を…?」
「ええ…。」
「どうして…!?」
泣きそうな顔で問いかける茉奈に、春日は一瞬、彼女自身も泣きそうな顔をして、言った。
「…ごめんなさい。今は、話せないの。ごめんなさい。」
「どうして。パパは、パパとママは今どこにいるの?!」
海外出張に10日ほど行ってくる、といって、家を出て行った両親だった。
しかし、茉奈の直感は、両親が帰ってくることはないと告げていた。
「教えて、春日さん。パパとママは帰ってくるの!?」
春日は、つらさを堪えるような顔をし、絞り出すように、告げた。
「あなたのお父様とお母様は、もう、帰ってこないわ。そう、もう二度と。」
「――嘘!!」
茉奈は咄嗟に叫んだが、しかし、春日の言葉に嘘がないこと、そしてただならぬことが起きていることだけは、はっきりと理解した。
ひと呼吸おいて、少し落ち着いた声で、春日は言った。
「あなたのお父様は、若い頃…まだ研究者として独り立ちしていないころに、蘇我製薬から多額の融資を受けたのよ。その代りに…。この研究……『愛玩寵姫』プロジェクトに携わることになった。――研究は長いこと順調だったわ。けれど一度だけ。蘇我製薬のトップに、先生は逆らったの。」
「逆らった、って…?」
春日は少し遠い目をすると、続けた。
「そうね…蘇我製薬のやり方に疑問を投げかけたのよ。そしてそれまで成功していた研究成果を…、壊してしまった。……蘇我製薬のトップは、裏切りをけして許さない方。小泉先生への執拗な攻撃が始まったわ。先生だけじゃない。先生の奥様や、まだ幼かったあなたにまで…」
「……そんな、ことが…。」
「そこで先生は、研究成果の『返却』と、そして、再度研究に従事することを、決めたのよ。愛する家族のために。」
「――でも、でもじゃあどうして、私にあんな『薬』を!?」
母を、自分をいつでも一番に考えてくれる、優しい父だった。そんな父がなぜ、娘である自分を、『愛玩寵姫』なんておそろしい、『生きた媚薬』になどしようとしたのか。
春日は、悲しそうな目で言った。
「貴女を、貴方を研究材料として差し出すことが…。蘇我製薬のトップが、先生に命じたことだったのよ…!」
「そんな…!」
「あの方は先生を脅したのよ。娘を殺すかそれとも、研究材料にするか、どちらか選べ、って……」
「ええ…。」
「どうして…!?」
泣きそうな顔で問いかける茉奈に、春日は一瞬、彼女自身も泣きそうな顔をして、言った。
「…ごめんなさい。今は、話せないの。ごめんなさい。」
「どうして。パパは、パパとママは今どこにいるの?!」
海外出張に10日ほど行ってくる、といって、家を出て行った両親だった。
しかし、茉奈の直感は、両親が帰ってくることはないと告げていた。
「教えて、春日さん。パパとママは帰ってくるの!?」
春日は、つらさを堪えるような顔をし、絞り出すように、告げた。
「あなたのお父様とお母様は、もう、帰ってこないわ。そう、もう二度と。」
「――嘘!!」
茉奈は咄嗟に叫んだが、しかし、春日の言葉に嘘がないこと、そしてただならぬことが起きていることだけは、はっきりと理解した。
ひと呼吸おいて、少し落ち着いた声で、春日は言った。
「あなたのお父様は、若い頃…まだ研究者として独り立ちしていないころに、蘇我製薬から多額の融資を受けたのよ。その代りに…。この研究……『愛玩寵姫』プロジェクトに携わることになった。――研究は長いこと順調だったわ。けれど一度だけ。蘇我製薬のトップに、先生は逆らったの。」
「逆らった、って…?」
春日は少し遠い目をすると、続けた。
「そうね…蘇我製薬のやり方に疑問を投げかけたのよ。そしてそれまで成功していた研究成果を…、壊してしまった。……蘇我製薬のトップは、裏切りをけして許さない方。小泉先生への執拗な攻撃が始まったわ。先生だけじゃない。先生の奥様や、まだ幼かったあなたにまで…」
「……そんな、ことが…。」
「そこで先生は、研究成果の『返却』と、そして、再度研究に従事することを、決めたのよ。愛する家族のために。」
「――でも、でもじゃあどうして、私にあんな『薬』を!?」
母を、自分をいつでも一番に考えてくれる、優しい父だった。そんな父がなぜ、娘である自分を、『愛玩寵姫』なんておそろしい、『生きた媚薬』になどしようとしたのか。
春日は、悲しそうな目で言った。
「貴女を、貴方を研究材料として差し出すことが…。蘇我製薬のトップが、先生に命じたことだったのよ…!」
「そんな…!」
「あの方は先生を脅したのよ。娘を殺すかそれとも、研究材料にするか、どちらか選べ、って……」