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スケベ爺ゼウスの女の尻を追いかける旅
第7章 レートー

恋敵に対して極端に厳しい分、ヘーラーはそういう恩義に対してはとても誠実なのでした。
故にオルテュギアー島に対して嫌がらせを仕掛けることは出来ませんが、かといってこのままおめおめとレートーに子を生ませるのも腹の虫がおさまりません。
ヘーラーはすぐさま次の手段を考えつきました。
「いいわ……要するに生ませなければいいだけの話なんですもの。エイレイテュイアにあの女の出産を知らせず館の中に引き留めておけば、あの女はいつまで経っても子を生めず、ただいたずらに陣痛に身を苛まれ続けるでしょう。ふふふ……それも見物というものだわね」
女の残酷さここに極まれり。
エイレイテュイアはヘーラーの娘で出産を司る女神です。
母によって情報を遮断された彼女は下界でレートーが陣痛に悶えているとも知らず、のんびりと父ゼウスの館でくつろいでいました。
一方、オルテュギアー島は修羅場です。
既に9日9夜も苦しんでいるというのに、一向に子供が生まれる気配すらないのですから!
全身から滝のごとく汗を流し、尋常ならざる痛みに必死で耐え続けるレートーはもう完全に衰弱しきっていました。
「どうしてこんなにお母様を苦しめるの、我が子たちよ……お願いだから生まれてちょうだい。やすらかにこのお腹から出ていって……!」
レートーの側にはポセイドーンの妃アムピトリーテーをはじめ、ゼウスの母レアーや妃テミス、またディオーネなど名だたる女神たちが付き添っていましたが、あまりにもエイレイテュイアの訪れが遅いことに不審を抱き始めました。
これはヘーラーに足止めされているに違いないと気付いた女神たちは、神々の伝令たるイーリスを呼びつけ、何とかヘーラーの目をかいくぐって彼女を連れてきてほしいと頼みました。
イーリスはヘーラーの側近で、つい先頃までは女王の命令により地上を見張っていた身です。
それがこのような伝令を命じられてはさぞかし困ったことでしょうが、位高き女神たちの頼みを無下に断ることはできません。
それにイーリスも女の身、今にも息絶えんばかりに悶絶するレートーを見てさすがに哀れみを覚えたものでしょうか、遂には説き伏せられて使いに立つことを承知しました。
故にオルテュギアー島に対して嫌がらせを仕掛けることは出来ませんが、かといってこのままおめおめとレートーに子を生ませるのも腹の虫がおさまりません。
ヘーラーはすぐさま次の手段を考えつきました。
「いいわ……要するに生ませなければいいだけの話なんですもの。エイレイテュイアにあの女の出産を知らせず館の中に引き留めておけば、あの女はいつまで経っても子を生めず、ただいたずらに陣痛に身を苛まれ続けるでしょう。ふふふ……それも見物というものだわね」
女の残酷さここに極まれり。
エイレイテュイアはヘーラーの娘で出産を司る女神です。
母によって情報を遮断された彼女は下界でレートーが陣痛に悶えているとも知らず、のんびりと父ゼウスの館でくつろいでいました。
一方、オルテュギアー島は修羅場です。
既に9日9夜も苦しんでいるというのに、一向に子供が生まれる気配すらないのですから!
全身から滝のごとく汗を流し、尋常ならざる痛みに必死で耐え続けるレートーはもう完全に衰弱しきっていました。
「どうしてこんなにお母様を苦しめるの、我が子たちよ……お願いだから生まれてちょうだい。やすらかにこのお腹から出ていって……!」
レートーの側にはポセイドーンの妃アムピトリーテーをはじめ、ゼウスの母レアーや妃テミス、またディオーネなど名だたる女神たちが付き添っていましたが、あまりにもエイレイテュイアの訪れが遅いことに不審を抱き始めました。
これはヘーラーに足止めされているに違いないと気付いた女神たちは、神々の伝令たるイーリスを呼びつけ、何とかヘーラーの目をかいくぐって彼女を連れてきてほしいと頼みました。
イーリスはヘーラーの側近で、つい先頃までは女王の命令により地上を見張っていた身です。
それがこのような伝令を命じられてはさぞかし困ったことでしょうが、位高き女神たちの頼みを無下に断ることはできません。
それにイーリスも女の身、今にも息絶えんばかりに悶絶するレートーを見てさすがに哀れみを覚えたものでしょうか、遂には説き伏せられて使いに立つことを承知しました。

