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真夜中の贈り物
第9章 クレヴァスガーデンの淫らな花壇 後編
「……蔓鼬(ツルイタチ)、でしたかしら?」

「なぬっ!?」

 しゅるると音を立て、四方八方からエヌフィーヌに忍び寄る花手裏剣から伸びる触手めいたツル。
 キオをがんじがらめにしてのけた必殺のお庭忍術!

 しかし、エヌフィーヌの杖の先が一瞬にして向きを変える。
 次の瞬間、全てのツルが爆裂した。

 どん、どんっ、どぅうぅぅんっ!

 クレヴァスを揺るがす大爆音。
 こだまする震動によって、岩のかけらや雪が降り注ぐ。

「なっ……んじゃがぁっ! お主、最初からツルを狙っておったのゲロか!?」

「そうよ、貴方を狙ってみせたのは偽装(フェイク)でしたの」

「どっ……どうしてツルの事がわかったじゃがっ!」

「……先ほどの戦い、見ていましたもの」

「なっ、なんと! ふっ……不覚……」

「……だったら助けに来いよ」

 と、呟いたのはキオ。

 しかし、絶頂の余韻で息も絶え絶え。宙に縛られたままの弱々しいツッコミが精一杯のようだ。
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