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真夜中の贈り物
第13章 童貞コロシアム
冬馬はどこか慇懃無礼な腹の底が読めない所があったが、陽太郎はその名の通り裏表のなす性格。だからこそ、こうやって不用心にも、理事長の孫である冬馬に対して、学園に対して感じている不審を打ち明けてしまったのであろう。
「……何か?」
冬馬が目を細めて訊きかえす。
「ああ……なんだか、最近皆の、特に男子生徒の落ち着きがないように感じるんだ。理由もなくソワソワしているような……何か隠しているような」
「そうですか?」
「キミは感じないのかい?」
「ええ。でも、僕は会長ほど洞察力に優れてるわけではありませんし……陽太郎さんがそう言うのなら何かあるのかも」
「……そうか。僕はこれは何か良くない事のような予感がするんだよ。そして、何か大きな間違いが起きているのではないかと」
端正な顔に憂いを浮かべ、額に手をあてる陽太郎。
その様子を横目で眺めながら、冬馬はペロリと出した舌を横に滑らした。
「知りたいですか? 何が起こっているのかを」
「えっ?」
陽太郎が驚いたときには、すでに冬馬の顔が、彼の目の前にあった。
ぷしゅ……
ミスト状の冷たいものが顔にかかる感触。
「あ……っ」
フワリと甘い匂いがしたような。
だが、次の瞬間、陽太郎の意識は心地良い眠りに落ちるかのように失われていた。