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真夜中の贈り物
第15章 薔薇のひとつ
「隊長は捕えられ、武器庫の鍵が奪われた。それとも、そう装って、野盗と情を通じて手引きした……いずれか。それを見極めなくてはならぬ」
背の高い枢機卿が、歩を進めてノヴァリスに不気味に近づく。
「やめろ……その女は無関係だ。鍵は俺が奪いとったのだ……」
うめくようにフェリックス。
しかし、枢機卿の歩みはとまらず、化石したように動けずにいるノヴァリスの前に立ち、ゆっくりとその手をかけて、彼女の着ているものを脱がし始める。
「げ……猊下、どうか……」
ノヴァリスはそれだけ口にするのが精いっぱいだった。
部屋中にたちこめる薔薇の香り。その魔性に囚われて頭がクラクラする。
フェリックスに抱かれたときと同じだ。
このままでは正気を保っていられない。
「この薔薇はもっぱら女にばかり強烈に作用するのだが、男にも少しは効き目がある。……この通り」
そう言って、枢機卿が穿いていたものを降ろして下半身をむき出しにする。
何もしていないのに剛直がはちきれんばかりとなっており、それがこの薔薇の効き目ということなのか。