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真夜中の贈り物
第16章 ボイストレーニング
「アメンボ赤いなアイウエオ!」
守衛さんに開けてもらった大講堂。そこは普段から演劇部の練習場所だった。もちろん、演劇部専用というわけではない。今日は月曜だから、全校朝礼がここで行われる。練習に使えるのはそれまでだ。
講堂内にある部室で手早くトレーニングウェアに着替えた亜優は、柔軟体操などのウォームアップはそこそこに、早速舞台に立って発声練習を開始した。
誰一人座っていない真っ暗な客席に向かって まずはワンセット。そして首を捻る。
「うーん……」
どうも納得がいかない。
先輩たちに比べると、自分は声量がない。舞台の上から、一番後ろの客席に届けるような気持ちで……と指導されているのだが、それだけでは充分な声の大きさにならない。