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真夜中の贈り物
第16章 ボイストレーニング
と、亜優が見つめていた講堂の一番後ろ、入場口の扉が開いた。
薄暗かった客席にさっと光が差し込み、一条の輝くカーペットのように、舞台へ向かう通路の上に伸びる。
「やあ、亜優クン、おはよう……自主トレとは熱心だね。感心、感心」
入り口に立つスラリとしたシルエット。そして男の子のようなその独特の口調。落ち着いた優しい声。光を背負って姿はよく見えなかったが、その声の主が誰であるかは明白だった。
「神楽見先輩! おはようございます」
「ハハハ、鏡花ちゃんって呼べばいいのに」
「そんな……先輩は先輩ですよ!」
「フフ、いいさ。じゃあ、私もキミのことは亜優クンのままにしよう」
神楽見鏡花は演劇部の部長にして天才脚本家だった。学生にしてプロの劇団にもシナリオを提供するほどの。もちろん、全国大会連続優勝の成績を誇るこの学園の演劇部でも、演出・脚本を担当し、コンクールでは創作脚本で文科大臣賞を受賞している。
薄暗かった客席にさっと光が差し込み、一条の輝くカーペットのように、舞台へ向かう通路の上に伸びる。
「やあ、亜優クン、おはよう……自主トレとは熱心だね。感心、感心」
入り口に立つスラリとしたシルエット。そして男の子のようなその独特の口調。落ち着いた優しい声。光を背負って姿はよく見えなかったが、その声の主が誰であるかは明白だった。
「神楽見先輩! おはようございます」
「ハハハ、鏡花ちゃんって呼べばいいのに」
「そんな……先輩は先輩ですよ!」
「フフ、いいさ。じゃあ、私もキミのことは亜優クンのままにしよう」
神楽見鏡花は演劇部の部長にして天才脚本家だった。学生にしてプロの劇団にもシナリオを提供するほどの。もちろん、全国大会連続優勝の成績を誇るこの学園の演劇部でも、演出・脚本を担当し、コンクールでは創作脚本で文科大臣賞を受賞している。