この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
真夜中の贈り物
第16章 ボイストレーニング
才色兼備。引っ張りだこの才能のせいでスケジュールは分刻み。それでいて、この通り気さくで偉ぶることもない。他の後輩達からも慕われている。
強いて欠点を探せば、発言がたまにユニークすぎてついていけないことがあるということぐらいだ。しかし、それもクリエイターにありがちな常識外れな部分、そんなご愛嬌と言えばそれまでのこと。
「あの、先輩……」
亜優は少しためらいがちに鏡花に声をかけた。忙しい彼女だから、きっと何か仕事のために早く出て来たに違いない。邪魔はしたくなかった。
だが、それでも相談せずにはいられなかったのは、自分の発声方法についてそれだけ悩みが大きかったからだろう。
「なんだい?」
まったく屈託のない顔で応じた鏡花が、学生鞄を手にしたまま舞台に向かって歩を進める。
強いて欠点を探せば、発言がたまにユニークすぎてついていけないことがあるということぐらいだ。しかし、それもクリエイターにありがちな常識外れな部分、そんなご愛嬌と言えばそれまでのこと。
「あの、先輩……」
亜優は少しためらいがちに鏡花に声をかけた。忙しい彼女だから、きっと何か仕事のために早く出て来たに違いない。邪魔はしたくなかった。
だが、それでも相談せずにはいられなかったのは、自分の発声方法についてそれだけ悩みが大きかったからだろう。
「なんだい?」
まったく屈託のない顔で応じた鏡花が、学生鞄を手にしたまま舞台に向かって歩を進める。